認知症になる前だからこそできること
相続相談をしていると、「もっと早く相談すればよかった」という言葉を耳にすることがあります。
その理由は、相続税ではありません。
認知症です。
最近はテレビや新聞でも「認知症による資産凍結」という言葉を目にする機会が増えました。
認知症になり判断能力が低下すると、銀行口座からお金を引き出したり、不動産を売却したりといった大切な手続きが、思うように進まなくなることがあります。
介護が必要になったとき。
施設へ入居するとき。
自宅を売却して住み替えを考えたとき。
「お金はあるのに使えない。」
そんな状況になる可能性があるのです。
だから私は、お客様によくお伝えしています。
「認知症対策は、認知症になる前にしかできないことがたくさんあります。」
これは決して不安をあおるためのお話ではありません。
ご本人の想いを、ご本人自身が決められるうちに形にしておくことが大切だからです。
では、どんな準備ができるのでしょうか。
まず一つ目は、家族で話す時間をつくること
「もし介護が必要になったらどうしたい?」
「施設に入ることになったらどう考えている?」
「大切にしている財産はある?」
難しい話をする必要はありません。
家族で話す時間そのものが、大切な相続対策になります。
二つ目は、エンディングノートを書くこと
財産のことだけではなく、家族へのメッセージや、自分の希望を書き残すことができます。
正解を書くものではありません。
「今の気持ち」を残しておくだけでも、ご家族にとっては大きな安心につながります。
三つ目は、任意後見制度などの仕組みを知っておくこと
将来、判断能力が低下したときに備えて、自分が信頼する人に財産管理などをお願いする方法があります。
すべての方に必要な制度ではありませんが、選択肢の一つとして知っておくことは大切です。
そして四つ目は、生命保険を活用すること
生命保険は相続税対策だけではありません。
受取人を決めておくことで、万が一の際に残された家族へ比較的スムーズにお金を届けることができます。
ご家庭によっては、認知症対策や相続対策として大きな役割を果たすこともあります。
よくある質問(Q&A)
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認知症になると家族でも銀行口座からお金を引き出せないのですか?
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はい。認知症によって判断能力が低下したと銀行が判断した場合、ご本人名義の口座が実質的に利用できなくなることがあります。
家族だから自由に引き出せるわけではなく、本人の財産を守るために金融機関が取引を制限するケースがあります。
そのため、介護費用や施設入居費用の支払いに困るケースもあるため、元気なうちから準備をしておくことが大切です。
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認知症対策は何歳くらいから始めるのがおすすめですか?
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「まだ早い」と思うくらいのタイミングがおすすめです。
認知症対策は、判断能力がしっかりあるうちにしかできない手続きが多くあります。
年齢ではなく、「元気な今」が始めどきです。早めに準備をしておくことで、ご本人もご家族も安心して将来を迎えられます。
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財産があまりなくても認知症対策は必要ですか?
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はい、財産の多さに関係なく大切です。
認知症対策の目的は節税だけではありません。
介護費用の準備や自宅の管理、家族が手続きをスムーズに進められるようにすることも大きな目的です。
「家族に負担をかけたくない」という思いがある方には、ぜひ考えていただきたい準備です。
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エンディングノートには何を書けばよいですか?
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難しく考える必要はありません。
例えば次のような内容を書いておくと、ご家族の安心につながります。- 銀行口座や保険の情報
- 大切な連絡先
- 医療や介護についての希望
- 家族へのメッセージ
- お墓や葬儀についての希望
すべてを書こうとせず、「今の気持ち」を少しずつ残していくことが大切です。
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相続と認知症対策は誰に相談すればよいですか?
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相談内容によって専門家は異なります。
例えば、- 相続全体の相談やライフプラン:ファイナンシャルプランナー(FP)
- 遺言書や任意後見契約:司法書士・弁護士
- 相続税の相談:税理士
- 不動産の相続:不動産会社や司法書士
「何を相談したらいいか分からない」という方は、まず相続全体を整理できる専門家へ相談すると、自分に合った制度や専門家を紹介してもらえるため安心です。
相続対策というと、「財産が多い人がするもの」と思われることがあります。
私はそうは思いません。
「家族に迷惑をかけたくない。」
「子どもたちに困ってほしくない。」
そう願うすべての方に関係することだと思っています。
そして私が一番お伝えしたいことがあります。
相続対策は、亡くなった後のためではありません。
元気な今を安心して過ごすための準備でもあります。
準備ができているからこそ、「もしものとき」を必要以上に心配せず、毎日を穏やかに過ごすことができます。
相続も、認知症対策も、ゴールは節税ではありません。
家族が安心して笑顔で過ごせることです。
そのためにできることを、一つずつ始めてみませんか。
最後に、一つだけ考えてみてください。
もし今日、ご家族と30分だけ話す時間があるとしたら、あなたは何を伝えますか?
その30分が、10年後、20年後のご家族にとって、かけがえのない時間になるかもしれません。
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