不動産相続でよくある揉め事とは?事前対策をFPが解説
「実家をどうするか、兄弟と話し合わないといけないな…」
「親が亡くなったとき、不動産の相続でもめるって聞いたけど、うちは大丈夫だろうか」
と気になっている方は多いのではないでしょうか。
不動産相続のトラブルは、財産の多い家庭だけの話ではありません。
むしろ「実家しか財産がない」というケースほど、分割しにくいために揉め事に発展しやすいのが実情です。
この記事では、不動産相続でよくあるトラブルの種類とその原因、そして事前にできる対策をFPの視点からわかりやすく解説します。
「うちの場合はどうすればいいの?」というヒントとしてぜひお役立てください。
不動産相続のトラブルとは?よくある揉め事4選
不動産相続のトラブルはさまざまな形で起こります。代表的なケースを4つご紹介します。
① 分割できないため相続人間で意見が割れる
不動産は現金と違い、「3等分する」などの物理的な分割が難しい財産です。
たとえば兄弟3人が実家を共同で相続した場合、誰が住む・売る・維持するかで意見が食い違うことがよくあります。
一人が「売りたい」、一人が「住み続けたい」と主張すれば、話し合いが長期化します。
② 一人だけが不動産を相続し、他の相続人が不満を持つ
長男が実家を引き継いだものの、他の兄弟が「自分たちの取り分は?」と不満を持つケースも多く見られます。
代償分割(不動産を相続した人が他の人に現金で補填する方法)で解決できますが、現金の用意が難しいと話し合いが難航します。
③ 共有名義にしたことで後々トラブルに
とりあえず兄弟で共有名義にした結果、売却や賃貸に出す際に全員の同意が必要となり、一人でも反対すると動けなくなります。
共有名義は「ひとまずの解決策」に見えますが、次世代に問題が先送りされることも少なくありません。
④ 相続税の納付資金が不足する
不動産は評価額が高いため、相続税が発生することがあります。ところが不動産は「すぐに現金化できない財産」です。
相続税の納付期限(10ヶ月以内)までに現金を用意できず、やむなく不動産を売却するケースも見られます。
なぜ不動産相続でトラブルが起きやすいのか?
不動産相続でもめやすい背景には、次のような理由があります。
- 不動産は分けにくい
現金は細かく分けられますが、不動産は基本的に「一つのもの」です - 感情が絡みやすい
「思い出の家を売りたくない」など、金銭以外の価値観が対立することがある - 評価が難しい
不動産の価値は算定方法によって異なり、「評価が不公平」と感じる相続人が出ることも - 遺言書がない
分け方が決まっていないため、相続人全員での話し合いが必要になる
こうした特性が重なることで、不動産を含む相続は現金だけの相続よりもトラブルになりやすいといわれています。
不動産相続トラブルを防ぐための事前対策
トラブルを防ぐためには、生前からの準備が何より重要です。具体的な対策を見ていきましょう。
対策① 遺言書を作成する
「誰に不動産を引き継がせるか」を遺言書に明記することで、相続人間の話し合いを最小限にできます。
公正証書遺言は法的に信頼性が高く、紛失や改ざんのリスクも低いためおすすめの方法の一つです。ただし、遺言書の内容は定期的に見直すことも大切です。
対策② 生前贈与を活用する
生前のうちに特定の相続人に不動産を贈与しておく方法もあります。
贈与税がかかる場合がありますが、相続時のトラブルを減らす効果が期待できます。
また、相続時精算課税制度など各種制度の活用も選択肢の一つです。ケースによって有利・不利が異なるため、専門家への確認をおすすめします。
対策③ 不動産の「共有名義」を避ける
相続人が複数いる場合、安易に共有名義にするのは慎重に検討しましょう。
どうしても共有にする場合は、あらかじめ「将来売却する場合の条件」などを文書で残しておくと安心です。
対策④ 生命保険を活用して代償金を準備する
不動産を一人に相続させる場合、他の相続人に渡す「代償金」の準備が課題になります。
生命保険の受取人を特定の相続人に設定することで、代償金の原資に充てることができます。
受取人指定の保険金は、原則として遺産分割の対象外になるため、活用しやすい手段の一つです。
対策⑤ 家族で事前に話し合う
最も大切なのは、生前に家族でオープンに話し合うことです。
「実家をどうしたいか」「誰が引き継ぐか」について意向を共有しておくだけでも、いざというときの揉め事を大きく減らせます。
主な不動産相続対策のメリット・デメリット比較
代表的な対策について、メリットとデメリット(注意点)を一覧にまとめました。
| 対策 | メリット | デメリット・注意点 |
| 遺言書の作成 | 分け方を事前に決められるトラブル防止に最も有効 | 定期的な見直しが必要内容によっては遺留分侵害の可能性も |
| 生前贈与 | 生きているうちに意向を反映できる | 贈与税が発生する場合がある7年以内の贈与は相続財産に加算 |
| 生命保険の活用 | 代償金の原資になる受取人を指定できる | 保険料の負担が発生加入できない場合もある |
| 家族での話し合い | 費用をかけずにできる家族の意向を共有できる | 結論が出ないこともある記録として残すことが重要 |
※上記はあくまで一例です。最適な対策は財産内容・家族構成・税制の状況によって異なります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 不動産相続のトラブルはどのくらい多いですか?
A. 家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件のうち、不動産が含まれるケースは多く見られます。また、裁判所に至らないケースも含めると、実際のトラブルはさらに多いと考えられます。注目すべきは「財産が少ない家庭でも起きやすい」という点です。財産が実家のみという場合、現金がないため分けようにも分けられず、話し合いが長引くケースが多く報告されています。「うちはそれほど財産がないから大丈夫」と安心せず、早めに対策を検討することが大切です。
Q2. 不動産を共有名義にするのはなぜよくないのですか?
A. 共有名義とは、複数の相続人が一つの不動産を「持ち分」で分け合う状態です。たとえば兄弟2人が50%ずつ共有した場合、売却・賃貸・リフォームなどには全員の同意が必要となります。一人でも反対すれば動けず、長年放置されることもあります。また、共有者が亡くなると持ち分がさらに次の世代に引き継がれ、関係者が増えるほど手続きが複雑になります。「とりあえず共有にする」という選択は、問題を将来に先送りするリスクがあることを理解したうえで検討してください。
Q3. 遺言書がなければ必ずトラブルになりますか?
A. 遺言書がなくても、相続人全員が円満に合意できれば問題なく相続を進めることができます。ただし、遺言書がない場合は「遺産分割協議」として相続人全員で話し合いを行う必要があり、一人でも合意しなければ手続きが止まります。また、相続人が多い・関係が疎遠・感情的なしこりがある、といった状況では合意が難しくなりがちです。遺言書はあくまで「ご家族の負担を減らすための備え」です。必ずしもすべての家庭に必要とは限りませんが、検討する価値は十分にあります。
Q4. 実家の不動産相続、まず何から始めればいいですか?
A. まずは「実家の現状把握」から始めましょう。土地・建物の登記状況、固定資産税の評価額、住宅ローンの残高(ある場合)などを確認しておくと、後の話し合いがスムーズになります。その上で、親が元気なうちに家族で意向を確認し合うことが重要です。「誰が引き継ぐか」「将来売るつもりがあるか」などを話し合っておくと、相続発生時の混乱を大きく減らせます。具体的な対策(遺言書・贈与など)については、FPや専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
Q5. 不動産相続のトラブル解決にはどんな専門家に相談すべきですか?
A. 状況に応じて複数の専門家が関わります。遺産分割の話し合いがまとまらない場合は弁護士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告や節税策は税理士が主な相談先です。全体像を把握しながら、どこに相談すべきかを整理したい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)が最初の窓口として適しています。複数の専門家に繋いでもらえる事務所であれば、窓口を一本化して対応してもらえるため、手間が少なく安心です。まずは気軽に相談してみてください。
まとめ:不動産相続のトラブルは「備え」で防げる
今回は、不動産相続のトラブルの種類と原因、そして事前対策についてご紹介しました。要点をまとめると以下のとおりです。
- 不動産相続のトラブルは財産の多い・少ないに関わらず起きやすい
- 分割しにくいという不動産の特性がトラブルの根本原因
- 遺言書・生前贈与・保険活用・家族の話し合いが主な対策
- 共有名義は「その場しのぎ」になりやすく、将来への先送りリスクがある
- 早めに専門家へ相談することで、家族の負担と感情的なしこりを防げる
「実家の相続は、うちの場合どうすればいい?」と感じた方は、ぜひ一度、不動産相続トラブルの予防策について専門家に相談してみてください。
個別の状況によって最適な方法は異なりますが、早めの行動が最大の備えになります。
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